平成27年度北九州市医師会災害医療研修会
3月19日(土)に小倉医師会館で北九州市医師会災害医療研修会が行われました。
当院からは伊藤、井上、田口、橋本、中川、井筒、角田、末吉、山本の9名が講師、運営スタッフとして参加しました。
北九州市医師会・災害担当理事の福地先生のご挨拶の後、災害医療総論ということで救急救命九州研修所・郡山教授、当院の伊藤、中川の各講師による講義があり、その後は職種毎でのワークショップに移りました。
今回の研修は、新たに北九州市医師会医療救護計画に定められたDMOC(Disaster Medical Operation Center・災害医療作戦指令センター)の紹介とその運用に関するシミュレーションがメインテーマであったため、DMOCについての解説後に職種毎のグループで災害時にどのような情報の収集・共有を行うか、JMAT/DMATの活動とDMOCの連携といった内容について議論し、グループ毎に意見を集約していきました。
最後に再び全体で集合し、各グループでの討論内容について情報交換しつつ、DMOCと関係機関の立ち上げから初期対応の一部についてのシミュレーションを行い、研修会を終了しました。4時間という短い時間ではありましたが、密度の濃い研修になったと思います。
救急科 田口
平成27年度佐賀県災害医療従事者研修
<平成27年度佐賀県災害医療従事者研修>
3月5日(土)、6日(日)の両日、佐賀大学で行われた佐賀県災害医療従事者研修に講師として昨年に引き続き参加させていただきました。この研修には例年佐賀県内の医療機関や消防本部から受講生や講師として多数の方が参加されており、さらに数名の講師が県外から招集されます。コースはそれぞれ1日完結の「総合基本コース」と「技能維持コース」が用意されており、受講生のニーズに合わせて選択できるようになっています。
5日の「総合基本コース」では、災害対応概論の講義の後にグループに分かれ、トリアージ実習、情報収集とEMIS操作、心のケア、エマルゴを用いたシミュレーションの研修を行いました。トリアージの実習を担当させていただきましたが、皆さん大変熱心に受講されていました。「基本コース」でありながら、きちんと心のケアについての内容が盛り込まれており、講師陣にとっても勉強になる研修でした。
6日の「技能維持コース」では、復習のための全体講義の後にEMIS操作、トリアージ研修、多数傷病者を想定した机上シミュレーションの研修を行いました。机上シミュレーションは地域の実情に合わせた設定で行われ、受講生の活発なディスカッションが印象的でした。
福岡県では、県医師会により統括DMATの医師を中心に全県的な災害医療研修を行っていますが、佐賀県ではDMATの医師を中心に看護師、調整員、救急救命士、県職員が一体となって研修を運営しており、運営面で参考になる点も多く、今後の地域の研修に生かせることができたらと思いました。
救急科 田口
平成28年3月、訓練・研修報告
以下の訓練・研修に参加させて頂きましたので報告します。
- リーガロイヤルホテル小倉消防演習(爆発物テロ想定)
- 福岡県医師会災害医療研修
- リーガロイヤルホテル小倉消防演習(爆発物テロ想定)
3月3日(木)リーガロイヤルホテル小倉で北九州市消防局、福岡県警察と協働し、爆発物テロを想定した消防演習に参加してきました。
今回の訓練では、5月に行われるG7北九州エネルギー大臣会合に向けて、有事の際にそれぞれの関係機関が担うべき役割をいかに遂行していくのかという確認にもなりました。
今回の訓練は、ホテルのワンフロアが爆破による被害を受けたという想定でとり行われました。
警察による爆発物の確認・撤去作業や、消防によるハシゴ車を用いた救助作業など、普段見ることのできない作業を間近で見ることができました。
当院は、爆破により被害を受けた傷病者十数名の医療救護活動の要請を受け、DMAT1隊で出動し、消防と連携してトリアージ・トリートメントを行いました。
このDMAT活動ブログを見て下さっている方々は災害医療に携わる関係者が少なく無いと存じます。
災害医療の目標は「防ぎ得た災害死を減らすこと」、「限られた資源で最大多数の傷病者の命を救うこと」にあります。
しかし、医療のニーズが医療資源を上回る災害現場ではその役割を果たすことは決して容易ではありません。それぞれの機関が同一の目標を持ってチームワークを発揮していくことが重要だと考えています。
今回の訓練では、関係機関との協働、それぞれの役割を再認識する良い機会であったと感じました。
この様な訓練を繰り返し行うことで、関係機関と顔の見える関係を構築し、チームワークの向上を図っていければと思います。
- 福岡県医師会災害医療研修
3月6日(日)福岡県医師会館で行われた災害医療研修に参加してきました。
当院からは、伊藤副院長が講師として参加した他、インストラクターとして井上医師、アシスタントとして、看護部・薬剤部から3名が参加しました。
トリアージ(START・PAT)の方法や考え方に加え、傷病者集積所・救護所のトリアージの違いなどの講義・演習を行いました。
実際の災害現場もそうですが、演習とは言え、限られた時間で最大多数の傷病者の命を救う為に何が出来るのか、何をしなければならないのか、いつも考えさせられます。講義を受ける側に座っていた時から何年たってもずっと変わらず悩まされています。
しかし、災害現場で悩んで何も出来ないことは、救うことの出来る傷病者の数を減らしてしまう可能性に繋がります。
「明らかに腹部の切創があり、腸が体外に出ているような患者が歩いていたら緑タグでいいのか?」数年前に受講者の方からこんな質問を受けました。
私はその質問にすぐに答えることが出来ませんでした。
その時、ある先生に相談したら、「トリアージは何度も繰り返し行われるのだから、悩む時間を使うくらいなら先に進め」とご指導を受けました。
未だに答えは見いだせておりません。できればそんな状況にお会いしたくないとも考えています。
ですが、ご指導の通り、悩み立ち止まることは次に運ばれてくる傷病者の方の命に関わることだということは分かります。
災害医療に携わる医療従事者の目標は皆同じです。
「限られた資源で最大多数の傷病者を救うこと」
同じ目標を持っています。
私たちに出来ることは、全ての傷病者が防ぎ得た災害死を来さないよう、最善をつくすことです。
今後とも訓練・研修に積極的に参加し、実働に備えていきたいと思います。
北九州市立八幡病院 日本DMAT業務調整員 角田
訓練・研修参加のご報告です。
以下の2点について記事になりましたのでご紹介します。
①平成27年度九州沖縄ブロックDMAT実動訓練
②平成27年度第3回北九州地域DMATブラッシュアップセミナー
①平成27年度九州沖縄ブロックDMAT実動訓練(H27、11/7~11/8)
(緊急消防援助隊九州ブロック合同訓練と一部共同で実施)
メンバー 山吉医師 井筒看護師 末吉ロジ 山本ロジ 加藤さん 篠原 計6名
H27,11/7土曜日9:00日向灘を震源とするマグニチュード9の南海トラフ地震が発生し、佐伯市で震度6強、大分市で震度6強を観測した。さらに、この地震により大分県沿岸に大津波警報が発表され、大津波が佐伯市の南部沿岸部に到達、各地で被害が発生した模様。この地震および津波による人的、物的被害が甚大であり、市街地では多数の火災が発生し、海岸部では津波による家屋の倒壊が発生している。被害に全容は把握されておらず、さらに人的・物的被害が拡大している模様。
メイン会場 ・佐伯市総合運動公園 420人70チーム参加 過去最高
今回の訓練内容
・11/7 EMIS入力訓練 訓練説明
・11/8 現場活動訓練
市立八幡病院DMATは橋梁崩落場所にて宮崎大学、田上病院、武田医師会上院DMATと共に現場救護所活動展開。宮崎大学DMATが救護所リーダーとなり、市立八幡病院DMAT隊が現場に消防の補助の元現場へ突入。
反省・今後の課題
集合時間をあいまいにしていたので事前に取り決めをして5分前行動で行う。
1泊2日の日程であったが、必要な荷物の選定を行う。今回不必要な荷物が多かった。
今回現場救護のため命綱をつけ10mほどの梯子に上り、下り現場へ行きトリアージ、安定化の処置を行った。消防との連携においてMETHANEのキーワードは大切だと再確認した。トランシーバにて救護所リーダーとやり取りした。救護者の事前情報を知ることができたので良かったと聞いた。経験者の井筒看護師の行動がとても勉強になった。連絡方法・考え方・行動の仕方、DMATとしての心構えなど参考になった。また、自分に足りないものは何か理解することができ今後JNTECの研修に参加しようと考えた。
来年は長崎にて訓練とのこと。次の訓練に生かせるよう努力したい。
看護部 篠原
②平成27年度第3回北九州地域DMATブラッシュアップセミナー
皆様、まだまだ寒い日が続いておりますがいかがお過ごしでしょうか?
先日の40年に一度と言われた大雪で大きな被害は受けていないでしょうか?
雨、雪、台風、地震など非日常的な自然のいたずらは時と場合により、災害となります。当院では、有事に備え年に数回の災害対策訓練や、傷病者受け入れ訓練を行っております。
机上訓練だけでなく、実際の災害を想定した実働訓練を含め、災害時にも最大限の医療を提供できるような備えを目標にしています。
DMATに限らず、一公務員としての役割を果たし、市民の皆様に市立病院があってよかったと思っていただけるようこれからも尽力していく次第です。
さて、今回、平成27年度第3回北九州地域DMATブラッシュアップセミナーに参加して参りました。
これまでの研修では、災害時のDMATの活動に焦点をあて、執り行われてきた研修ですが、今回は院内の災害訓練に焦点をあて、行われました。
院内災害研修の構築方法や、目的、考え方、それぞれの役割などを含め、実際に石巻赤十字病院の東日本大震災の時の活動(動画)や、小波瀬病院の訓練内容などをご紹介頂きました。
当院は救命救急センターを併設しており、敷地内には消防局の救急ワークステーションも設置されています。その為病院内だけでなく、病院前救護を含めた訓練も他施設に比べるとやりやすい環境にあります。
実際に、行政や消防を含めた訓練も行ってきた実績があります。
市民の皆様が災害時にも安心できるよう、多施設、多職種で協働し、市立病院としての役割を果たせるよう頑張って参ります。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
ロジ スダ
平成27年度 福岡県DMAT隊員養成研修への参加報告
平成27年11月22・23日、福岡県消防学校(福津市)において福岡県DMAT隊員養成研修会が開かれ、八幡病院より医師1名、看護師2名、調整員1名で参加させていただきました。
福岡県下22施設より83名の研修生の参加があり、講師として当院の伊藤副院長・井上医師・田口医師がそれぞれ講義を担当されておりました。
2日間で実習・実践訓練含め全16講義。
DMATの意義にはじまり、CSCATTT、トリアージ、情報伝達方法、広域災害救急医療情報システム(EMIS)、災害時の心のケアについて等、災害医療について一から学べる研修でした。
「救護所運営」では、グループごとに机上演習を行いました。救護所でのトリアージによるエリア設定や人員の配分など、どのグループも大きく違いはありませんでしたが、その後の実動訓練では、初めは思うように運営ができていませんでした。反省をもとに各自の役割の明確化とルールの統一を最初にリーダーから示されることで、各人が行動しやすくなることを経験出来ました。
今回の研修を通じて「災害とは何か?」、各機関との連携、DMATの活動内容等を細かく学ぶことが出来ました。なかでもチームワークの重要性について改めて考えさせられました。所属チームだけでなく、他施設のチームとの連携、消防など他職種との協働において、皆と一つの目標に向かっていくことが、「防ぎえた災害死」回避の最短経路になるのだということを理解しました。
実際の動きなどまだまだ想像もつかないことばかりですが、今後も積極的に実践訓練などに参加していき、知識、経験を培っていきたいと思います。
大原・木村(看護師)吉田(調整員)
平成27年度北九州市総合防災訓練
昨年8月の広島市の土砂災害をはじめ、全国各地で豪雨による災害が発生しています。
この状況をふまえ、被害の軽減や災害対応力の強化を目的に、10月25日(日)、福岡県立門司大翔館高等学校(門司区藤松)で土砂災害を想定した防災訓練が行われました。
今回は、藤松校区全体の住民避難訓練、市民の体験型訓練、関係機関による合同指揮所・救助救出訓練(総勢500人以上)が行われました。
私たち八幡病院DMATは北九州DMATの医療本部を立ち上げ、北九州DMATの指揮を担い、門司消防署・陸上自衛隊・福岡県警と共に救助・救出を含む医療活動訓練を行いました。
私は、医療本部でのクロノロ(時系列の活動記録)を担当し、現場救護所との情報共有に努めました。
北九州DMATからは、産業医科大学病院・北九州総合病院・九州労災病院・健和会大手町病院のDMAT4隊が出動し、日赤救護班と共に現場救護所を設置しました。
高校敷地内に設置された災害現場で土砂や瓦礫、埋没車両等から救助された模擬傷病者に対し、救護所でトリアージや安定化処置を行った後に拠点病院に搬送しました。
実際に訓練を行った時間は90分ほどでしたが、実戦さながらの緊迫した状況でした。
患者情報や現場状況の共有など情報伝達において今後の検討課題もありましたが、北九州DMATとして一致団結して協力し合い、実りある訓練ができたと思います。
薬剤課 山本朗子
平成27年度政府総合防災訓練への参加報告
平成27年度政府総合防災訓練への参加報告
薬剤課 末吉宏成
9月1日に大規模地震時医療活動訓練がありました。
本訓練は、東京湾北部を震源とする首都直下地震(東京都内で最大震度7)を想定したものです。
全国から約220のDMATが参加し、それぞれの活動場所で病院支援、医療搬送などを行う大規模な訓練です。
我々、北九州市立八幡病院DMAT(井上医師、田口医師、橋本看護師、篠原看護師、山本業務調整員、末吉業務調整員)も福岡空港(航空自衛隊春日基地)から自衛隊機(C-130)に搭乗し、神奈川県の海上自衛隊厚木基地まで行き、そこでSCU(staging care unit)という航空搬送拠点臨時医療施設を立ち上げ、広域医療搬送を行う役割を担いました。
医療搬送とは、間断なく継続的な医療を提供しながら患者を搬送することです。
我々DMATの目標は「防ぎ得た災害死」をなくすことにあります。
助かる命を助けることが出来る場所に送り出すための緊急度判定、安定化処置、搬送手
段の選定などを他のDMATと協働して行い、その目標を達成出来るように活動します。
その為には傷病者を被災地外に搬送して根本治療や集中治療を行うことが鍵となります。
今回の訓練では、1隊1隊の小さなDMATが協力し、災害時における共通言語やスキルをもって対応していくことで「防ぎ得た災害死」を少しでもなくしていくことができる可能性とDMAT相互のチームワークはもちろん、消防、自衛隊など他部門との連携の重要性を訓練の中で実感致しました。
やはり、実災害を想定した訓練に継続して参加していくことが今後も必要であると考え
ます。