角田ロジの「第1回 北九州地域DMAT ブラッシュアップ研修レポート」
皆さん初めまして。北九州市立八幡病院DMAT ロジスティック(業務調整員)の
角田直也(すだ なおや)です。
DMATと聞くと災害急性期の医療活動ばかりに目がいってしまいますが、災害はそんなに頻繁に起こるものではありません。
本来災害などない方がいいのですが...。
しかし、いざ災害が起こると最大限の力を発揮する必要があるため、全国のDMATは定期的に訓練を行っています。
国や県、市など地方自治体が開催する訓練が大部分ですが、今回は北九州地域(北九州市とその周辺地域)のDMATの皆さんと一緒に研修を行いましたので報告致します。
5月9日(金)北九州病院本部にて・・・
① 参集訓練
DMATは救急隊や消防隊と同じように、指揮命令系統に従って活動します。
当院は北九州地域の災害拠点病院の統括として位置付けられており、災害時には地域のDMATと協働して医療活動を行っていくように地域防災計画で取り決められております。
DMATは出動要請があった際に、まず参集拠点に指定された場所を目指して移動する
ところから活動を開始します。
移動手段や交通状況の確認、医療資器材の準備などを迅速に行い、病院の救急車や自衛隊機などを用いて参集拠点をめざし、到着後初めにすることは「受付」です。
参集したDMATは参集拠点のDMAT本部に「私達はこれだけの医療資機材をもって活動できます」という事を報告します。
DMAT本部はその情報を基に各DMATの活動内容や活動場所を決定して指示を出すため、地味ですがとても重要な事なのです。
②DMAT技能維持訓練と政府広域医療搬送訓練の概要説明
災害発生時のDMATの役割のひとつに広域医療搬送というものがあります。
DMATが行う活動としてTriage(重症度分類)・Treatment(安定化処置)・Transport(搬送)という「3つのT」が挙げられます。
この「搬送」は救急車によるものをイメージしがちですが、災害時は地域内の病院も被災しているため、被災地外の遠く離れた医療機関への搬送を要する状態にあります。
そこで、行われるのが自衛隊の航空機やヘリコプターを利用した広域搬送です。
DMATは災害時にSCU(Staging Care Unit:広域医療搬送拠点)を空港や自衛隊基地に立ち上げ、関係機関と協働して搬送を行うのですが、円滑な活動のためには訓練は欠かせません。今回新しくDMAT隊員になった方も多かったので、訓練参加経験者からその時の状況や訓練概要などの説明をして頂きました。
③衛星携帯電話通信訓練
災害現場での情報通信手段のひとつに衛星携帯電話があります。
携帯電話というと、「ただ電話番号いれてかけるだけ」と思われるかもしれませんが、
実はそんなに簡単なものではありません。
衛星携帯電話は一般の携帯電話と異なり、電波を全方位で拾ってはくれません。
なので、写真にあるような大きいアンテナ(四角い箱の様なものです)を衛星がある
方角に固定してから電話をかけます。
そして、電話番号や電話のかけ方も独特です。
普段使わないものだけに「使い方がわからない!」とならないように、このような地味な訓練が大切なんだなと再認識させられました。
北九州市立八幡病院 DMAT ロジスティック 角田 直也